わた
最近ツイッターで「スペイン人はポルトガル語が理解できる?できない?」といった話が話題になっていました👀
遠い国の言葉って分かってるようで、なんとなく謎に満ちていたりしますよね😅
実は、同じように海外の一部の人たちには、
なんて思われてたりするんです😱
日本人にとってはびっくり発言かもしれませんが、「スペイン人はポルトガル語が分かる?」という疑問に似ているのかなと思います。
そこで今回は、一スペイン語ネイティブである私が、よく似ていると言われるポルトガル語🇵🇹・フランス語🇫🇷・イタリア語🇮🇹が理解できるのか?できるならどれくらい理解できるのかを検証してみます👀
*記事内で言語名を表すために国旗の絵文字を使用していますが、実際には国旗が表す国家以外でも話されており、あくまでも便宜上のものです🙏
・スペイン語・ポルトガル語・フランス語・イタリア語に興味のある人
・スペイン語ネイティブは周辺言語がどう聞こえてるのか気になる人
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検証を始める前に…
この4つの言語の共通点とは?
そもそもなぜこの4つの言語を選んだのかというと、全てラテン語(俗ラテン語=口語ラテン語)に起源を持つロマンス諸語に属し、いわば兄弟のような言語だからです。
ローマ帝国の公用語であったラテン語、特に俗ラテン語は、ローマ帝国が崩壊した後も各地で独自の発展を遂げました。
そして現代では元々ローマ帝国領だったイタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、ルーマニアだけでなく、アフリカ大陸やアメリカ大陸でも俗ラテン語に起源を持つ言語が話されているんです👀
今回のスペイン語・ポルトガル語・フランス語・イタリア語以外にも、ルーマニア語、カタルーニャ語、ロマンシュ語など数多くの言語がロマンス諸語に属しますが、今回は話者数が多くYoutubeでサンプル数が多い4言語を選びました👀
「同じ起源を持つ言語」と言われても、あまりピンとこないかもしれませんが、全てラテン語の「方言」だと考えると分かりやすいかもしれません。
言語と方言の違い
実は、言語学者の中でも意見が別れるところですが、言語と方言に明確な定義の違いはありません。
お互いに話して通じれば、同じ言語であると考えることもできますが、実はそう単純ではなく、実際は、歴史、社会、文化、政治などにより一筋縄ではいかないものなのです。
さて、方言には、ある地域で話されている「地域方言」と、ある階層の人に話されている「社会方言」の二つがあり、人やモノの流れ、国の政策、社会的変化で常に変化している生き物です。
方言の成り立ちは大きく二つに分けることができます。
- その時代の情報の発信地・権力の中心地で話される言葉が共通語として周辺地域に波及する過程で変化した言葉。
- ある地域独自でのみ使われ発展した固有の言葉。
現代の日本語で、東京方言(いわゆる標準語)とは別に関西弁や東北弁、九州弁があるように、規模は違えどスペイン語・ポルトガル語・フランス語・イタリア語の話者はお互いの言語を方言に近い存在だと認識しているんです。
今回の検証方法
一スペイン語ネイティブであるわたですが、今回の実験には幸か不幸か、検証対象であるポルトガル語、フランス語、イタリア語は既にそこそこかじっています。
具体的に言うと、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)においてポルトガル語はA2レベル、フランス語はC1レベル、イタリア語はB1レベルです。
つまり、勉強する以前の状態と以降ではこれらの言語が理解できる度合いが違って当然ですよね😅
- 私がポルトガル語、フランス語、イタリア語を勉強する前にそれぞれの言語に持っていた印象を解説。
- Youtubeで適当に探した各言語のネイティブが話す動画を複数視聴。
- どのような点で理解できるのか、できないのか、どのように難しいのかを解説。
しかたがないので、以上の3点で、できるだけ論理的に説明していこうと思います💪
そんなの検証になってないじゃん!という人は悪しからず😂(笑)
ポルトガル語〜Português〜
まずは、ポルトガル語🇵🇹🇧🇷
スペイン語ネイティブから見たポルトガル語の印象
私がポルトガル語に最初に触れたのは、ペルーに住んでいたときの現地のニュースで見たブラジルの政治家か誰かの演説。
当時小学生だったことと、そもそも政治家の話す内容なんて子供には理解しづらいこともあり、特に別の言語だと認識はしていなかったような気がします。
その後、通っていた学校の友達のお母さんがブラジル・リオデジャネイロ出身で、親子でポルトガル語を話しているのを聞きました。
人生初の生のポルトガル語は、スペイン語とは違う言語であるという認識はありましたが、普通に理解できました。
でもスペイン語にはない「シュシュシュシュ」いう音と、鼻に抜ける鼻母音がやたら聞こえたのを覚えています。
実は同じスペイン語でも、アルゼンチンやウルグアイなどで話されるリオプラテンセ・スペイン語(Castellano rioplatense)は、ヤ行・ジャ行をシャ行で発音します。
テレビでアルゼンチンドラマが流れていたりして、身近にリオプラテンセ・スペイン語が聞けるので、
わた
なんて思っていましたね😅
スペイン語をあまり口を開けずに、柔らか〜く話したらポルトガル語っぽくなる印象でした🙏(笑)
どれぐらい分かる?
スペイン語とポルトガル語は文法面・語彙面でかなり似通っており、スペイン語ネイティブはポルトガル語の知識が全くなくても、書いてある文は9割方理解できます。
それもそのはず、スペイン語とポルトガル語は語彙面で約90%類似しているのです。
ポルトガル語の中には、ポルトガルで話されるイベリアポルトガル語とブラジルで話されるブラジルポルトガル語などがあり、発音や文法、語彙面で若干の違いがあります。
スペインと南米で話されるスペイン語に違いがったり、英語にイギリス英語とアメリカ英語があったりするのと似ていますね👀
発音や文法面の違い以外にも、イベリアポルトガル語よりブラジルポルトガル語の方が口をはっきり大きく開ける傾向があるので、ブラジルポルトガル語の方が理解できる気がします!
こちらの動画はスペイン語ネイティブ(ペルー出身)とポルトガル語ネイティブ(ブラジル出身)の二人がお互いにスペイン語・ポルトガル語で話して、意味がどれぐらい理解できるかを実験したものです😎
動画後半で分かるように、聞き取れない単語があったとしても、その分からない単語を前後・分脈で補って理解できるぐらいスペイン語とポルトガル語は似ているんです👀
地理的距離や経済的依存度によって、この二つの言語は影響し合っており、ブラジル・アルゼンチン・ウルグアイの国境地域では、お互い似ている分、ポルトガル語とスペイン語のちゃんぽん的な言語が話されているそうです👂
スペイン語ネイティブは、書いてあれば90%、リスニングでも80%、ポルトガル語が理解できる💡
イタリア語〜Italiano〜
次はイタリア語です🇮🇹
スペイン語ネイティブから見たイタリア語の印象
イタリア語を最初に聞いたのは…いつだったかな?(笑)
たぶん世界各地を訪れるNHKの『世界ふれあい街歩き』という紀行番組で、イタリアの都市特集を見たのが初めてだったと思います。
リズムは、スペイン語より強弱をつけて話しており、また、ほぼ理解できるけど、分からない単語がところどころあるという感じでした。
街の子供達にインタビューする場面で、何かを質問された時に “Sì”(はい)と答えていて、それがスペイン語の “Sí” と同じ発音だったので親しみが湧いたのを覚えています😊
こちらの動画は、アルバニアで近年増えているイタリア人観光客についてのニュースです。
テーマとはあまり関係ありませんが、イタリア語の雰囲気をどうぞ🙌
どれぐらい分かる??
イタリア語も、書いてある文であれば、8割方理解できます。
スペイン語とイタリア語は文法面・語彙面でかなり似ており、特にスペイン語とイタリア語の語彙の内、約80%が同語源であると言われています。
リスニングとなると、イタリア語の発音はスペイン語の発音と似ているため、8割方、ゆっくりであればそれ以上理解できます。
ただ、語彙面で80%が類似しているとはいえ、イタリア語の知識がないと全く理解できない単語はたくさんありますね😅
スペイン語ネイティブは、書いてあれば80%、リスニングだと70%、イタリア語が理解できる💡
フランス語〜Français〜
最後はフランス語です🇫🇷
スペイン語ネイティブから見たフランス語の印象
最初に私がフランス語に触れたのは、これまた学校です。
英語の先生がフランス語も話すことができるトライリンガルで、休み時間などに好奇心から自己紹介や身の回りのものをフランス語でなんというか聞いていました😅
ところどころ分かりそうな単語が聞き取れるのですが、「理解できる」とは程遠い感じでした(笑)
鼻に抜ける鼻母音も多発して、やはりスペイン語とは違う別の言語なんだという印象でした👃
こちらの動画は日本のことをどれだけ知っているかをフランス人に聞いたインタービュー動画です👀
テーマとはあまり関係ありませんが、フランス語の雰囲気をどうぞ🙌
どれぐらい分かる???
同じロマンス諸語なので、スペイン語とフランス語は文法面・語彙面でかなり似通っています。
語彙面に関していえば、スペイン語とフランス語の75%が同語源であり、類似しているのです。
ただ使用頻度の高い基礎単語は、フランス語の知識がなかったら理解しにくく、書いてある文でも6〜7割理解できれば良い方でしょうか。
とりわけリスニングになると、理解できるのは3割ぐらいになります。
これはフランス語が長い歴史の中で音韻変化が著しく進行した上に、綴り字に反して発音しない音が多いためです。
スペイン語ネイティブからしたら、
みたいな語彙がたくさんあるんです。
例えば「私たち」を意味するスペイン語は “nosotros”(ノソトロス)、フランス語では “nous”(ヌ)の一音😱
「私は〇〇を持っています」スペイン語なら “Yo tengo〜”(ヨテンゴ)、フランス語なら “J’ai”(ジェ)😭
わた
スペイン語ネイティブは、書いてあれば60〜70%、リスニングだと30%、フランス語が理解できる💡
結論:かなり理解できる!
今回はスペイン語ネイティブがポルトガル語🇵🇹、イタリア語🇮🇹、フランス語🇫🇷に持っている印象と、どれぐらい理解できるのか、解説しました!
語彙類似性:🇵🇹(90%)>🇮🇹(80%)>🇫🇷(75%)
読解:🇵🇹(90%)>🇮🇹(80%)>🇫🇷(60%)
リスニング:🇵🇹(80%)>🇮🇹(70%)>🇫🇷(30%)
今回の検証はあくまで、それぞれの言語を学習したことがない・知識がない状態でどれぐらい理解できるかを考えたもので、読解とリスニングの割合はあくまで私の感覚です。
語彙面で75〜90%も共通しているのだから、少しかじってそれぞれの言語の「クセ」をつかめば、理解度は更に向上するのは目に見えてますね👀
それぞれのネイティブが周辺言語でマルチリンガルなのも納得です(笑)
注意しなければいけないのは、似ているからこそ間違ってしまうケースも多いということ。
一見同じ意味の単語に見えるスペイン語のtraerとポルトガル語のtrair。
スペイン語のtraerは「持ってくる」という意味ですが、ポルトガル語のtrairは「裏切る」という意味😱
一見同じ意味の単語に見えるイタリア語のimbarazattaとスペイン語のembarazada。
イタリア語の方は「恥ずかしい」という意味ですが、スペイン語の方は「妊娠している」という意味😳
勘違いして使ってしまったら色々と大変なことになりそう💦
わた
スペイン語の歴史や方言、語源の不思議など、広く深く知りたい方は、岡本信照著『スペイン語の世界』がオススメです😊
ラテン語からの変化・アラビア語の影響・文学など幅広く掘り下げていて「へぇ〜!」を連発してますw
特に中南米スペイン語の多様性の背景には目から鱗👀
読み物としては少し固めですが、文法以外の目線からスペイン語を知ることができますよ📚
ビックリしました、あんまり私の日本語様子じゃないけど、Cottonさん の説明が正しいです。
同じ 母国の言葉(スペイン語)日本語はすごいですね。うらやましいです。
ペルーの歴史との説明気に入った、今度のスピーチに使わせて下さい。
リリーさん、コメントありがとうございます
ペルーの歴史の記事も喜んで頂けたようで嬉しいです!ぜひスピーチに使ってください
非常に興味深く読ませて頂きました!
ファビリオと申します。日本人です。
スペイン語は初級レベルにも関わらず、ポルトガル語も気のせいか少しわかってしまいます相当似通っているのだと思いました。イタリア語は今のところ理解できないです。
余談ですが、素人耳では音的にスペイン語にポルトガル 語よりイタリア語のほうが近い気がします。書面では、確実にスペイン語にポルトガル 語のほうがイタリア語より近いと思います。ちなみにこれはブラジルポルトガル 語と比較した場合の話です!
ほんとにラテン系言語同士はお互い近いのだなと思いますね!
非常に興味深く読ませて頂きました!
ファビリオと申します。日本人です。
スペイン語は初級レベルにも関わらず、ポルトガル語も気のせいか少しわかってしまいます相当似通っているのだと思いました。イタリア語は今のところ理解できないです。
余談ですが、素人耳では音的にスペイン語にポルトガル 語よりイタリア語のほうが近い気がします。書面では、確実にスペイン語にポルトガル 語のほうがイタリア語より近いと思います。ちなみにこれはブラジルポルトガル 語と比較した場合の話です!
ほんとにラテン系言語同士はお互い近いのだなと思いますね!