わた
前回の記事で『なんで英語ってこうも読み方が不規則なの?』で、英語の気まぐれとも言えるスペルと発音の背景についてご紹介しました。
・18世紀以降、幾度となく専門家や言語学者が、発音に合わせたスペリングにしようと正書法(つづり字)改革の動きがあったが、大きな改善には至らなかった。
・しかし、成功した例もあって、それがイギリス英語とアメリカ英語のつづりの違いに現れている!
ということで、今回はシリーズ第一弾:アメリカ英語とイギリス英語:スペリングの違いとその背景をご紹介します!
日本では戦後、文化的・経済的にアメリカの影響が大きかったため、英語教育ではアメリカ英語が主流になっています。
そのため、イギリス英語のつづりはなかなか見慣れなくて違和感を感じるかもしれません。
でも実は世界では、イギリス英語の方が幅を利かせていたりするんです😳
また、TOEICでは、同じ英語でも、アメリカ英語・イギリス英語・オーストラリア英語・カナダ英語、それぞれのネイティブ話者がリスニングの音声を担当しています。
また、イギリスやオーストラリアなどへの大学留学で必要とされることが多いIELTSは、全てイギリス英語で出題されます!
TOEICやIELTSを受験する方も必見ですよ〜👀
微妙に語尾が違う
まずアメリカ英語とイギリス英語、どのようにスペリングが違うのかを見てみましょう👀
一番多いのは、微妙に語尾が違うと言う点!
発音に関しては、アメリカ英語・イギリス英語全般に共通して言える語末の “r” の発音の違い以外は、違いはありません。
-OR -OUR
🇺🇸color 🇬🇧colour
🇺🇸behavior 🇬🇧behaviour
🇺🇸labor 🇬🇧labour
🇺🇸neighbor 🇬🇧neighbour
-ER -RE
🇺🇸center 🇬🇧centre
🇺🇸fiber 🇬🇧fibre
🇺🇸meter 🇬🇧metre
🇺🇸theater 🇬🇧theatre
-IZE -ISE
🇺🇸organize 🇬🇧organise
🇺🇸realize 🇬🇧realise
🇺🇸recognize 🇬🇧recognise
-OG -OGUE
🇺🇸analog 🇬🇧analogue
🇺🇸catalog 🇬🇧catalogue
🇺🇸dialog 🇬🇧dialogue
語尾ではなく、語中に余計なeがある場合もあります。
🇺🇸aging 🇬🇧ageing
なんでスペルが違うの?
では、なんでこんなチマチマとしたスペルの違いがあるのでしょうか?😅
それは、16世紀に遡ります⏰
宗教や経済的な事情を理由に、多くのイギリス人がアメリカ大陸に入植しました。
そして100年余りの植民地時代・混乱・戦争・独立を経て、アメリカで生まれ育った人たちを中心に「アメリカ人」と言うアイデンティティが徐々に形成されたのです。
「自分たちは『イギリス人』とは違う」
そう彼らは認識していました。
そして1828年、アメリカで初となる『アメリカ英語辞書』(An American Dictionary of English Language)がノア・ウェブスターによって出版されました。
現在でも「ウェブスター辞典」は、アメリカ英語の代表的な辞書の一つです。
それまで、地域や人によって違いがあったスペリングや発音が、この辞書によって初めて統一されました。
その際、スペリングと発音に乖離が大きいものや、合理的でないと思われるスペリングを、より発音に忠実なスペリングに変えたのが、今日のアメリカ英語になったんです💡
前回の投稿で、英語の8割が外来語由来である、という話をしましたが、今回ご紹介したアメリカ英語とイギリス英語のスペリングの違いは、ほとんどがこの外来語由来の単語です。
いかに外来語由来の単語が英語のスペリングと発音の乖離を招いたかがうかがえますね😅
イギリス英語はイギリスだけではない
主にイギリスの植民地だった国・地域からなるイギリス連邦(Commonwealth of Nations)では、伝統的にイギリス英語のスペリングを採用しています。
イギリス連邦には、カナダやオーストラリア、ニュージーランドのほか、アジア(インド、パキスタン、マレーシア、シンガポール…)、中米(ジャマイカ、バハマ…)、アフリカ(南アフリカ共和国、ガーナ、ナイジェリア…)など、50ヶ国以上が加盟してます👀
またヨーロッパでは、英語といえばその名の通り「英国の言語」なので、イギリス英語がメインで、街で見る英語標識は基本的にイギリス英語のスペリングを採用しているんです。
世界には、アメリカ英語よりイギリス英語の方が馴染みがある国が意外と多いんですね😳
今回はアメリカ英語とイギリス英語のスペリングの違いと背景をご紹介しました。
知っている単語なのに、つづりが違うというだけで焦らないでくださいね☝️