わた
前回、動物の鳴き声や物が発する音といった英語のオノマトペ(擬声語)🐶についてご紹介しました!
今回は、擬声語と比べられることの多い擬態語についてご紹介します♪
擬態語とは?
擬態語は音ではない状態や感情を表す言葉を指します。
その定義や分類は言語によって異なります。
前回もご紹介したように、例えば日本語の文法では擬声語(擬音語)という項目や、その対比としての擬態語という項目がありますが、英語では擬声語(オノマトペ)はあっても、擬態語という概念は一般的ではありません。
まず日本語の擬態語について軽くご紹介します😊
日本語の擬態語
日本語は擬声語(擬音語)などのオノマトペが多い言語として知られていますが、実は擬態語も非常に多く、日本語の特徴としてよく挙げられます。
なんと一般的な形容詞や副詞より、擬声語・擬態語の方が多いとさえ言われているんですよ😳
表面の感触
さらさら、ざらざら、ツルツル、ぬめぬめ、ヌルヌル、ベタベタ
外見の状態
よぼよぼ、ピチピチ、ビショビショ、カラカラ、キラキラ、ギラギラ、ピカピカ、ピカッ、モクモク
動作の様子
ウロウロ、ゆらゆら、よろよろ、ひらひら、ふらふら、メラメラ、ぶらぶら、オドオド、ビクビク、じろじろ、ガブガブ、ドバドバ、ごくごく、グズグズ、どんどん
匂いを表す
ツン、プン、ムーン
体の症状
ジンジン、ジーン、ガンガン、ズキズキ、ズキッ、ゴロゴロ、シパシパ、ムズムズ、チクチク、チクッ
感情を表す擬態語
ワクワク、ドキドキ、イライラ、ムカムカ、メロメロ、きゅん、がーん、ジーン、ギクッ、ぎくり、ゾッ、ゾワッ、ソワソワ
この中にはごくごく、ドキドキやさらさらなど、擬声語に分類することもできる言葉もあり、その境目は曖昧で、使い方も多様です。
極めつけは「シーン」ですね。
音がないことを表す擬態語があることは、私たち日本人にとって当たり前ですが、実はかなり珍しいです。
擬声語(擬音語)と同様に、擬態語は日本語のサブカルチャーである漫画に多用されるため、外国語に翻訳される際、擬声語以上に翻訳が困難になる部分の一つです。
日本語の擬態語は英語にどう訳す?
日本語で擬態語として表される表現は、英語では全て名詞、動詞、形容詞、副詞などの組み合わせで表現するしかないことが多いのが現状です😭
①再びロンドンを目の当たりにして胸がワクワクした。
It was a thrill to see London again.
②朝のコーヒーを飲まないと一日中イライラする。
If I don’t have my morning coffee, I am in a bad mood all day.
③教室がざわざわしていた。
The classroom was noisy with murmuring students.
このように、日本語と英語で言語体系が異なるので、日本語の擬態語にぴったりと当てはまる文法も1対1対応でないことがあります。
③のmurmur「小声で話す・ぶつぶつ不平を言う」は、もともと「風の音」を表す擬声語に由来するので、日本語では擬態語で表現する文が、英語では擬声語で表現するという興味深い例ですね👀
また、先ほどご紹介した音がないこと表す擬態語の「シーン」が漫画で登場する際は、SILENCE(静寂・沈黙)という単語がそのまま載っていたりします😅
本当に訳者泣かせな部分です💦
英語に「擬態語」はない?
では、日本語のように英語にも擬態語はあるのでしょうか?
冒頭でもお伝えしましたが、英語の文法上「これが擬態語です!!」とはっきり言える項目はありません。
言語学的にはIdeophone(表意音、動作の様相を表す音声)に擬声語(擬音語)や擬態語が含まれますが、日本語や韓国語には何千も存在するのに対して、英語を含むヨーロッパの言語では非常に数が少ないとされています。
でも!少ないだけで、あるにはあります💕
zigzag
なんと日本語のジグザグは英語由来😳
Z字形に右往左往する動きを表し、擬音語と同じように名詞、形容詞、副詞、動詞の用法があります!
He has a red necktie with white zigzags. (名詞)
There is a zigzag path behind the gate. (形容詞)
The girl ran zigzag along the beach. (副詞)
A flash of lightning zigzagged across the sky. (動詞)
helter-skelter
「慌てふためいて、うろたえて、あたふたと」という意味で、副詞、形容詞、名詞、動詞としての用法があります。
The boys ran helter-skelter all over the house. (副詞)
higgledy-piggledy
「雑然と、乱雑に、めちゃくちゃに」という意味で、副詞、形容詞、名詞の用法があります。
Their apartment was higgledy-piggledy after the earthquake. (形容詞)
これらは全て押韻合成語といい、元々あった単語に韻を踏むよう別の単語を付け加えてできた言葉だそうです。
zigzagはもともとあったzagという単語にzigが加わり、zigzagと韻を踏んで使われるようになったということですね💡
日本語でも、二音節が二回繰り返される擬音語や擬態語が多いので、似ています。
「擬態語」の本質は、直感・語感・五感
何度も言うように、英語に「擬態語」という項目はありません。
擬態語の定義は「擬声語の対比として、音ではなく何かの動きや様子を表す言葉」ですが、もはやそれって英語ではただの形容詞や副詞になるのでは?と思ってしまいます😅
擬態語には、他にも特徴があるのではないか🤔
そこで、いろいろと頭を悩ませた結果たどり着いたのは「擬態語は、物事の状態や動きとネイティブの直感・語感・五感とが密接に結びついている言葉」なのではないか、ということです。
例えば、入道雲や綿あめを想像してみてください。
これらを形容する単語を一つ挙げよ、と言われたら、きっと多くの方が「ふわふわ」を挙げるのではないでしょうか。
試しに「ふわふわ」という概念を「ふわふわ」を使わずに説明しようとしてみてください。
とても説明的なものになってしまうはずです。
辞書で「ふわふわ」を調べると「軽いものが揺れ動いたり、浮いて漂ったりするさま」とありますが、この説明文が入道雲や綿あめの「ふわふわ」感を完璧に再現できているのか、というと、ちょっと違いますよね💦
「ふわふわ」感の半分も再現できていないのではないでしょうか😅
日本語ネイティブにとって「ふわふわ」はその意味だけではなく、その言葉のもつ雰囲気(語感)と実際に触ったり見たりした経験(五感)を直感的に表すことのできるものなのです。
そう考えると、英語にも英語ネイティブが直感的に、「この感覚は絶対この語感のこの言葉!」という広い意味での「擬態語」があると言えると思います。
その代表例が、食感や感触を表す形容詞です。
crunchy(バリバリ、ボリボリ、ガリガリした), crisp(パリパリ、カリカリ、シャキシャキ、サクサクした), gooey(ベタベタ、ネバネバした), gritty(ジャリジャリ、ザラザラした), clammy(ねっとりした), fluffy(ふわふわした)などですね。
直感と語感、そして五感。
何かを説明的・論理的に伝えることができることも大事ですが、このような感覚的なワードも、ぜひ使えるようになりたいですね😊
まとめ〜語感を語学のスパイスに〜
前回と今回の2回にわたって、英語の擬声語(擬音語)と擬態語をご紹介しました。
日本語の語彙の大きな部分を占める擬声語と擬態語。
逆にいうと、日本語ネイティブである私たちの思考の大きな部分をこの擬声語と擬態語が占めているということになります。
英語を英語脳でアプローチする大切さを語るときに、日本語脳はジャマなものとして扱われがちですが、逆説的に日本語に特徴的な擬声語や擬態語から英語の世界を覗いてみると、また違った発見があるように感じます。
「この英単語のこの語感、好きだな」
たまには、そんな小さな喜びも英語学習のスパイスとして楽しんでみるのはどうでしょうか😊
ちなみに私は hippopotamus 「カバ」の語感が好きです🦛(笑)
みなさんも擬声語や擬音語に限らず、好きな語感、好きな響きの英単語を教えてください👂