わた
今回はシリーズ第3弾。フランス語の世界にご案内します♪
数々触れてきた言語の中で、わたが大好きな言語のひとつです。
実をいうと、フランス語にかけた総学習時間は比較的短いのですが、その理由は後ほどご紹介します!
シリーズ第一弾の韓国語、第二弾のスペイン語もぜひご覧ください。
マルチリンガルCottonが導く【スペイン語】のディープな世界
かつては世界の共通語だった!?
少数言語の研究・開発・記録を行なっている非営利団体、国際SIL、Ethnologueの統計(2017)によると、フランス語は第8位:総話者数は2億2900万人!
このランキングだとあまりぱっとしないかもしれませんが、フランス語はフランス🇫🇷だけではなく、周辺国であるスイス🇨🇭やベルギー🇧🇪、ルクセンブルク🇳🇱などのほか、
カナダ🇨🇦やアフリカ諸国など、29カ国の公用語でもあり、英語(約80の国と地域)に次いで、2番目に多い数字です。
また国連の公用語(英語・フランス語・ロシア語・スペイン語・アラビア語・中国語)のひとつでもあります。
ひと昔前までは世界の共通語だった
今でこそ、英語が世界の共通語・公用語・国際語として広く認知されていますが、実は20世紀ごろまでは、フランス語が今の英語の地位についており、外交の世界では専らフランス語が使用されていました。
フランス植民帝国としての軍事的・経済的影響力が主な理由ですが、今でもヨーロッパのフランス語圏に拠点を置くEU(ヨーロッパ連合)やNATO(北大西洋条約機構)、WTO(世界貿易機関)などの国際機関では、英語と共にフランス語も公用語として使用されています。
今も昔も、世界的に影響力のある言語だということです。
ちなみにフランス語は英語と違い、名詞を修飾する際、名詞のあとに形容詞がくることが多いので、
例えば(英)European Union は、(仏)Union européenne となります。
そして略称も(英)EU、(仏)UE と逆になるのです!
そのほか(英)NATO は、(仏)OTAN!
ナトーは、オタンです(笑)
また、順序だけでなく頭文字が変わる例もあります。
(英)World Trade Organization (WTO)
(仏)Organisation mondiale du commerce (OMC)
記者会見などで広報担当が座る台や後ろの壁紙に、英語とフランス語のどちらの名称も載っている場合もあるので、
ニュースなどを見る際にぜひ注目してみてください👀
セクシーなフランス人、鼻が詰まってる!?
すみません、タイトルだいぶん失礼ですね(笑)
でも、フランス語と言って真っ先に思い浮かべるのは、「あぁ〜ん」「おぉ〜ん」と鼻に抜ける音なのではないでしょうか?
これこそフランス語の特徴のひとつ、鼻母音(voyelles nasales)です!
そもそも鼻音は多くの言語に存在します。
分かりやすいチェック方法として、な行や、ま行などを、鼻をつまんだ状態(もしくは本当に風邪などで鼻が詰まっている状態w)で発音するとき、いわゆる鼻声になってしまう音が鼻音です。
なぜ鼻声になってしまうかというと、鼻音を発声する際に空気が口ではなく鼻を通っているからです。
これらの鼻音は、な行なら/n/、ま行なら/m/の子音要素自体が鼻音なのですが、母音の部分だけで鼻音になるのが鼻母音です。
しかし、ただ「あぁ〜ん」や「おぉ〜ん」と日本人が発音したところで鼻母音にはなりません。
やはり少しセクシーに、すこし鼻にかかった感じで発音するのがコツでしょうか🐽
ちなみにこの鼻母音は、フランス語のほか、ポルトガル語、ポーランド語、上海語にも存在しますよ。
フランス語を発音する上で、鼻母音がなかなかの関門なのですが、
そのほかの母音も英語に負けないぐらい曖昧な母音が存在し、なかなかクセがあります。
私の大学時代のフランス人教授は、「フランス語を話す際、口の形ひとつで全然違う言葉になってしまうから、フランス人は笑いながら会話をしない」と言っていたほどです(笑)
もちろん半分冗談だとは思いますが、まったくの冗談だとは言えないかもしれません。
フランス語学習で英語の語彙力アップ!?
「Ghoti?」英語の気まぐれなスペルの裏事情でもご紹介しましたが、
英語は1000年以上もの間に、古期ノルド語、ノルマン・フランス語、ラテン語、ギリシャ語、中央フランス語など、周辺国から多大な言語的影響を受け、多くの外国語を借用し、取り入れてきました。
その中でもフランス語からの借用語は膨大で、フランス語から英語に借用された語彙は1万5,000語以上とも言われています。
フランス語 | 英語 |
bleu | blue |
bouquet | bouquet |
cité | city |
conversation | conversation |
fiancé | fiancé |
finir | finish |
fleur | flower |
orange | orange |
porc | pork |
rivière | river |
voyage | voyage |
上の表を見てわかるように、中学校で習うような平易な単語や身近な単語が、実はフランス語由来だったりします。
ブーケやフィアンセのように、日本語に入っている単語も多いですね。
特にconversationのように-tionや-sionで終わる名詞や、
investmentのように-mentで終わる名詞はほとんどフランス語由来です。
これらの単語は元はといえばラテン語由来なので、中には直接フランス語を経由していない単語もありますが、
ある程度英語をやっていれば、読み方はさておき、勉強をせずとも相当な数のフランス語単語が理解できるということになります!
そして次は英語の少し難しめな熟語なのですが、全て元はフランス語です。
熟語 | 意味 |
C’est la vie! | それが人生さ。(英:That’s life.) |
crème de la crème | 最良のもの、一流の人々(訳:選り抜きの中の選り抜き) |
déjà vu | 既視感、すでに見たという印象(英:already seen) |
en route | 途中で(英:on route) |
sans doute | 疑いもなく、必ず(英:without doubt) |
単語単位だけではなく、フランス語の前置詞や、動詞の過去分詞がそのまま英語になっているとは驚きです。
多くの場合、フランス語の発音はほぼ無視され、英語風に発音されるのですが、アクサン(母音の上のアクセントマーク)は忠実に書かれます。
フランス語を学習していれば、英語の少々難解な熟語も、わけありません👌
一石二鳥です!!
兄弟は似た者同士!?
前回のマルチリンガルわたが導く【スペイン語】のディープな世界でご紹介したスペイン語のふたつの関門、
全ての名詞に性が存在し、形容詞などは修飾する名詞の性と数に合わせて形を変えなければいけない性数一致の特徴と、動詞の活用地獄についてですが、なんとフランス語も同じ特徴を持っています。
結構な大家族!
これはどちらの言語も俗ラテン語の子孫で、同じロマンス諸語に属している、ある意味兄弟だからです👬
同じ理由でイタリア語やポルトガル語、ルーマニア語なども同じ特徴を持っています。
なかなかの大家族です!!
兄弟関係にある言語は文法面でも、語彙面でも似通っていることが多く、
わたがフランス語にかけた総学習時間が比較的短いのも、既に兄弟にあたるスペイン語を身につけているからです。
ただ、同じ家族と言っても、やはり当たり前ながらそれぞれ個性があります。
ちょいとひねくれ者?
実はフランス語の単語は、語末の子音を読まないことが多いのです。
例えば、Je suis Marie. (英:I am Marie.)
という文の、英語のbe動詞にあたる”suis”ですが、
「スィス」って読みたいですよね!?
残念ながら(?)こちらの単語は「スィ」/sɥi/と読みます。
最後のsを読まないのです。
同じように、ils(英:they男性形)やelles(英:they女性形)も、
「イルス」「エレス」ではなく、「イル」/il/、「エル」/ɛl/です。
複数のsはしっかりあるのですが、それを読まないので、単語自体で単数なのか複数なのか、判断することができない語が多いです。
(例外は語末のc, r, f, lですが、例外の例外もあります。)
それでは何で判断するのか、というと、単語の前に来る冠詞の形(音)で判断します。
例えば定冠詞であれば、男性単数がle(ル)、 女性単数がla(ラ)、どちらの複数もles(レ)なので、
le Japonais (ルジャポネ)と言えば、日本人男性(単数)
les Japonais(レジャポネ)と言えば、日本人男性(複数)
ということが分かるのです。
調子に乗るな〜
ここまで複数のsは読まないルールを説明しましたが、実は場合によっては読むことがあります。
先ほどご紹介した、Je suis Marie. (英:I am Marie.)
ですが、Je suis américain.(英:I am American.)
こちらは、(ジュスィザメリカン)/ʒəsɥizameʁikɛ̃/!
suis の次にくる単語が母音で始まるとき、sが出てくるのです。
ロマンス諸語の中で、ここまで読み方にクセがあるのはフランス語だけなので、ほかの兄弟からは「フランス語は調子に乗ってる」と批判を浴びることもありますが、仕方ないような気がします😅
おわりに
今回は私の好きな言語のひとつであるフランス語をご紹介しました。
相変わらず後半は初学者を萎えさせてしまう情報が満載でしたが、少しぐらいクセがある言語の方が、愛着は湧くというものです。
今までフランス語に触れたことがない方はもちろん、既にフランス語を学習されている方にも、フランス語の新たな魅力が伝わったなら嬉しいです!
フランス語を勉強してみたくなりました。
読んで頂いてありがとうございます
大好きな言語のひとつなので嬉しいです!