のり
今回は、久々の書評記事です!
紹介する本はこちら。
東大生クイズ王として、テレビタレントやYouTuberとして大活躍している伊沢拓司さんの著書です。
この本は、特に語学について専門的に書いている本ではありません。
しかし、当ブログで主に扱っている「諸外国語の勉強」や「英検・TOEIC対策」といった細かなテクニックではなく、勉強に対する根本的な姿勢とが学べるのでオススメです!
- 色んな勉強法や参考書を試しては挫折してしまう人
- 勉強しているのになかなか成績が伸びない人
- 東大生クイズ王・伊沢拓司さんが好きな人
東大生クイズ王・伊沢拓司
まず、著者の伊沢拓司さんについて。
TV番組『東大王』や、人気YouTubeチャンネル『QuizKnock』などで幅広く活躍しているクイズプレイヤーです。
クイズプレイヤーって言われてもあまり馴染みがない人がほとんどかと思います。
が、実は私、高校時代はクイズ研究会に所属していて、クイズ好きなんです。(強いとは言っていない)
そんなクイズ好きな私がハマったTV番組が『東大王』。そして、そこから派生してYouTube『QuizKnock』を見るようになりました。
TVで見る伊沢さんは、「クイズを知り尽くした天才!」って感じでしたが、YouTuberとしてみると、「めっちゃ面白くてクイズ大好きすぎる人!」って印象です。
クイズを一度でもやったことがある人なら(いや、やったことない人でも)、彼の知識量、判断力、考え方、そしてクイズ愛がわかるはずです。
そんな伊沢さんが勉強法についた本を出すってなったら、買うしかないでしょってわけで、本当にただの自己満足の読書として終わるつもりでした。
しかしこれが大当たり。自分が昔から勉強法についてモヤモヤと感じていたものが、超論理的に書かれていて、この読書体験をシェアしないわけにはいかない!と思いました。
万人に合う勉強法はない
置かれた状況もその時の学力も人によって全然違うのに、同じ方法でまるっと解決!というのは無理があるように思うのです。
『勉強大全』p.25 まえがき より
『勉強大全』というタイトルから何を想像しますか?
私はなんとなく、
とか考えていました。
その期待は、いい方向に大きく裏切られます。
『勉強大全』は、勉強法をまとめた百科事典みたいなものではなく、
自分に合った勉強法を探すための「心構え」と「考え方」を解説した一冊です。
当ブログ「NCMゴガク」では、TOEIC対策のオススメ参考書や、ラジオ講座の紹介をたくさんしています。
そうやって紹介する一方で、こんな思いがありました。
そして、ミスマッチがないように
- この参考書は中学生レベルの文法事項はマスターしておく必要があります。
- 私のやり方の実例ですが、自分に合うように調整してみてください。
というような注意表記をなるべく入れるように心がけて書いていました。
でも、この『勉強大全』に書いてある内容をみんなが理解していれば、前述のような表記なんかしなくていいんです。
だって、本当に自分に合った勉強法は「自分で見つける」ものだから。
私がオススメした参考書を少しでも「使ってみたい!」と思った人が、実際に使ってみて、「こうやって使うといいかも!」と自分で気づいて、それが結果に繋がれば、ブロガーとしてはこれ以上ない喜びです。
参考書や勉強法を公開してシェアすることで、誰かの助けになったり、逆に新しい使い方を教えてもらったり。
そういうメディアを目指すためには、この『勉強大全』で紹介されている「勉強との向き合い方」が重要になってきます。
試行錯誤~自分に合った勉強法をどう探すのか
「結果を最大化しようと考え続けること」こそが「全力」なのです。
『勉強大全』p.56
自分に合った勉強法を自分で見つけ出すというのは、非常に難しい問題です。
たとえば、上記のようなアドバイスをそのまま鵜呑みにしていませんか?
もちろん、アドバイスがプラスに作用することはあるでしょう。
でも、その姿勢(もらったアドバイスをそのまま流用する)では、いつか頭打ちとなるでしょう。
常に「もっと良いやり方はないかな」と試行錯誤することが大事です。
本書『勉強大全』には、試行錯誤についての具体的なテクニックが多く紹介されています。
その中でも特に参考になったのは「信じる→疑う→信じる」というプロセス。
これは以下のステップで勉強法を固めていくという手法です。
- 信じる まずは、気になる参考書や勉強法を信じてやってみる。
- 疑う しばらくやってみて、効果的だったか検証する。
- 信じる ②の「疑う」を乗り越えたうえで、有効だと思った手法を信じて進める。
特に②疑う のステップは、
- 自分の目標に対してしっかりとコミットしたものであるか
- 今までの勉強法より効果的か
といったあたりを意識しながら振り返れるとより効果的かなと思います。
「観測」してますか?
一番信頼できるのは「自分自身による客観的な分析」なのです。
『勉強大全』p.135
『勉強大全』では、「観測」という言葉がたびたび登場します。
これは非常に言葉の使い方がうまいなぁと思いました。
本書の「観測」とは、以下2つの要素に分解できると思います。
- 目標までの方向性
- 目標までの努力量
この2つを見失っていないか点検することが「観測」であり、目標到達のために絶対に必要なカギと位置付けています。
本書は『勉強大全』という名前ですが、これはどんな場面であっても意識しておきたい考え方です。
よく「目標は期限を定め、具体的に!」と言われますが、それは上記のような「観測」をするために必要な要素だからですよね。
期限や内容が具体的に決まっているからこそ、目標までの距離感や方向性、現在の努力量がその目標に見合ったものか「観測」できるんです。
また、本書内には「観測」の手段としての模試や過去問の活用方法も書かれています。
今までそういった視点で物事を考えたことがなかった人は、最初のとっかかりとして役に立つ内容となっています。
さいごに~東大生は「天才」ではない
勉強ができないからって、バカなわけではありません。勉強ができないというのは、単にやっていないか、やり方が自分のとって正しくないかのどちらか。
『勉強大全』p.33
さて、今回は東大生クイズ王の伊沢拓司著『勉強大全』についての書評をしました。
自分の思うところも多く、引用はちょっと少なめでしたが、本書の魅力について、少しでもお伝え出来たのかなと思います。
ところで、「東大生」と聞くと、どういう印象を抱きますか?
天才、頭がきれる、なんでも知っている、要領がいい
こんな印象かと思います。というか私自身、そんな風に思ってました。
『QuizKnock』は伊沢さんが編集長として運営している、YouTubeチャンネルを含むWebメディアです。
そこにはクイズ好きな東大生がたくさんでてきます。
それを見ていると、確かに
って思うシーンがないわけではありません。
でも、それ以上に思うのは、
ってことです。
人間は、熱中できるものに対して驚異的な集中力を発揮します。
たとえば、私は歌手のポルノグラフィティが好きで、ほぼ全ての曲名をイントロ部分だけで答えられます。
実際にやると「すごいね!」って言われますが、別に苦労しながら覚えたわけじゃありません。
熱中していれば、誰だってできると思うんです。
「東大生」と呼ばれる人たちは、「熱中する仕組み作り」がうまいんだと思います。
そして本書『勉強大全』は、勉強に「熱中」したい人、すべてにオススメできる本です。
ぜひ興味ある方は読んでみてくださいね。

